阿部容子(あべ・ようこ)/造園家・ガーデンデザイナー。岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、個人邸、マンション、病院、企業、公園、レジャーランドなど全国各地で造園設計・施工を行う。世界最大級のバラ園「花フェスタ記念公園(岐阜県)」の設立初期より携わり、現在も同園開催の「ぎふ国際ローズコンテスト」審査員やアドバイザーとして活動。テレビや『NHK趣味の園芸テキスト』講師など、雑誌等のメディアでも活躍中。また、アメリカ園芸療法協会会員として、米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を活かし、日本にはまだ浸透していないホスピタルガーデンも施工。庭が心身に与える影響を検証しながら、庭の機能性を追求している。

Information

【造園ポリシー】

暮らしに寄り添う庭デザイン

私が造園に際して最も大切にしていることは、生活者の目線に立つことです。庭は日々の生活の舞台の一つであり、より生活を豊かに楽しく、快適にする空間として庭を造るのが私の仕事です。そのために大切にしているのが、施主さまとのコミュニケーション。というのも、これまで数多くの庭を設計してきましたが、人の暮らしに同じパターンは一つもないからです。

私は、施主さまの「こんな庭が欲しい」という希望に応えるだけでは、プロの仕事として不十分だと思っています。施主さま自身も気づかない望みや不安を汲み取って、設計に落としこむのが造園家である私の仕事です。ですから、設計前に現場に立ち、広さや日当たり、気候風土、周辺環境といった物理的条件を確認することはもちろん、施主さまの世代や家族構成、家族関係、健康状態、趣味、ペットの有無、出身地などなど、会話のなかからできるだけ多くの情報を集めます。そうした施主さまの個人情報こそがデザインの元となり、その方の暮らしにぴったりの庭をつくることができます。ですから、庭はすべてオーダーメイド。今まで作ってきた庭に、一つとして同じものはありません。

世代にあった庭づくり

施主さまの暮らしに寄り添ったデザインを。と私が強く思うのは、私自身が生活者だからです。私は現在60代。3人の子どもを育て、離婚も親の介護も経験し、今は孫もいます。世代や家族構成、その他さまざまな要因によって、生活はめまぐるしく変わるということを、私自身が経験してきました。そして誰もが素敵に暮らしたいと思っていながらも、現実の生活はかっこ悪い部分も多分に含んでいるということも、実感しています。

庭を含めた生活環境の整備にかけられる時間も労力もお金も趣向も、世代ごとに変化します。どんなに理想の美しい庭を思い描いていたとしても、実際には草取りなんかやってられない!という時代もあるものです。だからといって素敵な暮らしを、憧れの庭を諦めないでください。そんなときこそ、プロの私の出番。「草取り一つもできないわ」というストレスを施主さまが抱えることなく、ホッとできる庭空間をデザインするのが造園家の私の仕事です。

デザインは「機能」

私が考えるデザインとは、ただかっこいい、かっこ悪い、美しい、美しくないという見た目の問題ではなく、「機能」だと思っています。美しく作るのは当たり前。美しいと同時に、機能を露呈せず美しい庭景色として風景に溶け込ませながら、確実に機能させる設計こそ、デザインです。さまざまな条件の具体例を「ガーデン施工例」のページで紹介していきますので、ぜひご覧ください。

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